インフルエンザの治しかた


手の太陰経(肺経)が治療点です。

高熱の時は、商陽穴から刺絡します。



湯液(とうえき/漢方薬の事)の世界では、普通の風邪の事を「中風」、きつい風邪の事を「傷寒」といいます。

インフルエンザはきつい風邪ですので、「傷寒」の分類に入るでしょう。

鍼灸でインフルエンザを治療する場合、漢方薬の力を借りることを念頭において、治療します。

その方が早く、楽に治るからです。


手の太陰経(肺経)が治療点です。

ツボは、中府穴~少商穴まで、どこに反応があらわれても不思議ではありません。

反応があらわれているツボを選びます。

症状がきつく、熱が高い時は、商陽穴(手の陽明経・大腸経)から刺絡します。

少商穴(手の太陰経・肺経)にも反応があらわれている場合があります。

反応があらわれている場合は、少商穴から刺絡をします。

呼吸が楽になり、高熱が下がってきます。


肩や背中や首は、即刺即抜の速い手技で治療します。

素早く鍼を刺したら、素早く鍼を抜きます。


即刺即抜の速い手技ができなければ、接触鍼(小児ばり)を肩や背中、首に施します。

邪気を「払うよう」なこころ持ちで手技で行い、表面の邪気が減じてくれば、手技をやめます。

もたもた、ぐちゃぐちゃ鍼をやっていると、反対に邪気が集まって来て、余計に高熱になるからです。


インフルエンザの様なきつい風邪(傷寒)の時は、鍼灸治療だけではなく、漢方薬を併用すると良いでしょう。

鍼灸師は漢方薬を処方できませんので、患者さんには、薬剤師のいる漢方薬局か医師に相談していただくしかありませんが、自分や家族が飲む場合には、「麻黄湯」を選びます。

麻黄湯を飲む方が、インフルエンザ治療薬を飲むより、早く治るという報告もあります。

体力がなくインフルエンザ治療薬を飲めない方や、極力西洋薬を飲みたくない方などにおすすめです。


ただ、お子さんがいる家庭は、「子どもが高熱を出しているのに、漢方薬だけで大丈夫か?」と心配される方も多いと思われます。

そんな時は、自分の中で、ルールを決めておくと良いでしょう。

たとえば、「高熱を出していても、目の輝きが正常なら、漢方薬だけで行く」「高熱を出していなくても、ぐったりしていて、元気が無ければ、西洋薬の力も借りる」という具合です。


私の場合は、「38.5℃」を目安にしていました。

体温が38.5℃以下なら、漢方薬だけ飲まして様子を見る。38.5℃以上なら、西洋薬の力を借りる。という具合にルールを作りました。

もちろん、これを推奨し、みなさんに押しつけるつもりはありません。

このルールは、みなさん一人ひとりが決めて下さい。

私の患者さんの中には、「普通の風邪なら、葛根湯。インフルエンザならタミフル」と決めている方がおられます。


大切な自分の身体と、大切な家族の身体です。

お医者さんや、鍼灸師任せにせず、自分で判断し、自分でルールを決めましょう。