呼吸器系疾患の治しかた


「どこまで邪が入り込んでいるのか」

「どこで邪が暴れているのか」

「どの程度邪が暴れているのか」

を、正確に把握できれば、どの様に治療すべきか決まります。



「呼吸器系疾患」と聞いて、何を思い出すでしょうか?

まずは、風邪。

それから、気管支炎や喘息。

病名だけ上げると、上気道炎、かぜ症候群、急性気管支炎、肺炎、肺結核。肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息。突発性肺線維症。気胸、肺がん、気管支拡張症などがあげられます。

各論的な詳細は、各論の所で説明するとして、ここでは大きく「呼吸器系の疾患の治しかた」について、説明したいと思います。


まず、呼吸器系疾患を患者さんが訴えたとき、一番大事な事は、「どこまで邪が入り込んでいるのか」「どこで邪が暴れているのか」「どの程度邪が暴れているのか」を正確に判断することです。

呼吸器は「鼻」からはじまり、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺まで続いています。

この間のどこで、どの程度邪が暴れているのかを正確に把握できれば、どの様に治療すべきかが、判断できます。


治療は、手の太陰脈(肺経)を中心に組み立てます。

ツボは尺沢穴~少商穴まで、どのツボでも反応が出て来る可能性があります。

反応の出ているツボを選びます。


手の太陰脈以外のツボは、邪におかされている場所によって、判断します。

たとえば、鼻・鼻腔の邪が入っているなら、顔面にあるツボを選びます。

顔面のツボに刺すときは、02番針など極細の針を使いましょう。

安全のためです。

四白穴や巨髎穴とか使います。


咽頭、喉頭なら、首の前面のツボを選びます。

このとき、首の裏面(項=うなじ)を必ず確認しましょう。

冷えている場合があります。(首の前面は熱、後面は冷えの関連です)

私は、よく、大椎穴付近にお灸をしています。


気管と気管支ならば、治療点は胸です。

ツボで言えば、天突穴~ダン中穴。

臓器としての肺そのものに邪がある場合は、その部分に鍼や灸をします。

また、邪が気管や気管支、肺にまで及んでいるときは、呼吸器の症状が重くなっている(重症化している)可能性が高いので、背部の要穴(たとえば肺兪など)に鍼をしたり、灸をしたりします。

また、重症化している場合は、刺絡をして血に乗せて邪を出すのも良いでしょう。


とにかく、「どこまで邪が入り込んでいるのか」「どこで邪が暴れているのか」「どの程度邪が暴れているのか」を正確に把握することがポイントです。

あとは、おのずから治療法が決まってきます。