花粉症の治し方


花粉症は症状が出てくる前が勝負。

患者さんには、シーズンが始まる前から鍼灸院に通ってもらいましょう。

症状が出てきたら、「アレルギー性の花粉症」なのか、「呼吸器系の花粉症」なのか、「複合型の花粉症」なのかを見極め、それぞれに対応する。


花粉症の治療をしていて、いつも思う事ですがあります。

それは、「なぜ、患者さんは、花粉症が悪化してから、鍼灸院に来るんだろう?」と、いう事です。

悪化してからじゃ遅い!

まっ、来るのが遅くても、治療はしますが、やはり治りが悪い。

花粉症が悪化する前から治療を開始したいのが、鍼灸師の本音ですよね。

そうすれば、花粉症を発症する前に花粉症を治せたり、かりに発症したとしても、最悪な状態になるのを押さえることができます。

花粉症治療は、花粉症のシーズンが始まる前から開始します。

では、「いつから?」と言う疑問が出てきます。

花粉に敏感な体質の方は、1月の上旬からもう反応しています。

急いで鍼灸院に行きましょう。

この時期から治療を開始すれば、月に1回~月に2回くらいのペースでも、十分治療効果を発揮できます。


花粉症治療で、鍼灸師として押さえておくべき一番大切な事は、患者さんの花粉症が、「アレルギー系の花粉症」なのか、「呼吸器系の花粉症」なのか、「複合型の花粉症」なのかの見極めることです。

この見極めをちゃんとしないと、治療のアプローチが変わってきます。

上手いアプローチでは、良き治療結果が、悪いアプローチでは、悪い結果がでます。

見当違いな事をしても、効きません。


アレルギー系の花粉症には、手の少陽経(三焦経)をつかえばいいでしょう。

鍼灸古典の記述は少ないようですが、臨床経験から導き出した結論です。

豪鍼もよく効きます。

症状がひどければ、井穴刺絡なんかがよく効きます。


呼吸器系の花粉症には、手の太陰経(肺経)を使います。

肺経と臓器としての肺の関係は、深いようです。

「肺に肺経」と単純なようですが、よく効きます。

あと、背部の「肺」に関係するツボ、例えば肺兪穴などを使います。

あとは、首・肩・背中を十分ゆるめてやれば、呼吸がかなり楽になります。


問題は、複合型の花粉症です。


「複合型の花粉症」の治療


「複合型の花粉症」の治療ですが、「複合型」とは言っても、だいたいの花粉症は「アレルギー系」と「呼吸器系」の両方の性質を持っています。

たとえば、アレルギー系の花粉症が70%、呼吸器系の花粉症が30%という具合です。

もちろん、逆の方もいます。

このどちらの性質が高いかで、どちらを優先させるかを決めます。

「この患者さんは、基本的にはアレルギー体質で、多くはアレルギーが花粉症に影響してるんだけど、今は、呼吸器に影響が出ているんだよね」という具合です。

これが、複合型の花粉症です。


この場合、先に呼吸器の症状を押さえてやらなければ、患者さんは苦しむばかりで、治療の意味がありません。

根本的には、アレルギーを抑える治療が必要ですが、今はその時期ではありません。

呼吸器の症状が取れたのち、アレルギーの治療に取りかかります。

患者さんが「ゼーゼー。ゴホンゴホン」と言ってるのに、のんびりとアレルギー治療してちゃダメです。


この図を見てください。


この図は、花粉症の患者さんが「熱」を持っている部分を図示したものです。

ただの熱ではなく、邪気をはらんだ熱ですので、正確には「邪熱」です。

目と鼻、オデコの付近、斜線で描かれている部分に邪熱があるのは分かりますよね。


問題は、頭頂部や後頭部、首の付け根に熱を持っている部分がある事です。

髪の毛がありますので、分かり辛いですが、丁寧に診て下さい。

必ず、邪熱を感じます。

この部分に、散針を施します。

先のとがった小児鍼やてい鍼で、特殊な針がなければつまようじなどで、叩くように刺激します。

道具が無ければ、少し伸ばした爪でも、硬いヘアブラシ良いでしょう。

トントントンと刺激してやります。

これだけで、花粉症予防はばっちりです。


上記の図の位置は、花粉所予防だけではなく、シーズンが始まり、花粉症を発症しても、治療点として使えます。

花粉症の重症度によって、使うな針などは違ってきますが、治療点は一緒です。

小児鍼、極細の針(02番針など)、普通の針、太い針、刺絡治療の順で刺激量は変わってきます。


軽く症状が出ている場合は、小児鍼(接触鍼)や極細の針を使います。

呼吸困難などを起こしているような場合は、刺絡治療などを施します。