むちうち症 (交通事故から3ヶ月間苦しんだむちうち症が、たった1回の鍼治療で完治した症例)
患者
I・S様。40歳代後半。女性。やや痩せ型。
主な症状(主訴)
首の痛み、頭重、船酔いの様な気持ち悪さ。
むちうち症(交通事故の後遺症)。
症状(現病歴)
約3か月前、自転車で通行中、自動車と接触する。
自転車ごとこけ、膝をうつ。
救急車が呼ばれたのでおとなしく病院に搬送され、検査を受けるが、骨折もしておらず、「膝の打撲」と診断される。
首の違和感を感じるが帰宅。
翌日、首が動かなくなり、無理に動かそうとすると、痛みが走り、船酔いの様に気持ちが悪くなる。
あらためて搬送された病院を受診すると「むちうち症」と診断される。
搬送された病院は遠いので、紹介状を書いてもらい、近隣整形外科にて、首のホットパックと牽引(けんいん)治療を受けるも、いっこうに良くならず、事故から約3カ月後、当院を受診する。
初診日の症状は、首の痛み、頭重、船酔いの様な気持ち悪さ。
首の痛みは後頸部と側頸部。
可動域は上下・左右とも30度くらい。
頭重は頭全体だが、ひどい時はコメカミが痛くなる。
船酔いの様な気持ち悪さにも波があるが、電車・バス・自動車等でゆらされると気持ち悪さが増すと言う。
その他の持病など(既往歴)
約半年前に、「五十肩」で来院。四回の治療で完治。
家族歴
特筆すべき事項なし。
東洋医学的 四診(所見)
脈診/ やや浮いているように感じるが、パワーはない。
舌診/ とくに異常を感じない。
腹診/ 下腹部に虚・寒を感じる。
触診/ 頸椎の四番・五番あたりに違和感を感じる。
東洋医学的な概念的理解(診断)
脈診では、やや浮いているように感じるのは、身体の上の方に症状が出ているためか? パワーがないのは体質。
舌診では、とくに異常を感じない。
腹診では、下腹部に虚・寒を感じるが、これも体質であろう。
触診では、頸椎の四番・五番あたりに違和感を感じた。「なんか、首がまっすぐじゃない」という感じ。
西洋医学的な理解
西洋医学的には、「むちうち」は「鞭打ち損傷」=「外傷性頸部症候群」。以下抜粋。
〔外傷性〕頸部症候群(鞭打ち損症)頸椎の急激な過伸展と前屈による頭頸部の損傷.初発症状は頸部痛,頭痛,頸部の運動制限が主であるが,めまい,耳鳴,眼の疲労など後頸部交感神経による頑固な症状が長く続くことも少なくない.治療は,初期には安静,慢性期には温熱療法などの理学療法のほかに,頸部交感神経節ブロックなどが行われる.(医学大辞典/医歯薬出版)
治療と経過
初診 初診は某年1月下旬。
基本的な治療計画は、肩・首のコリを取り、血の流れを良くし、頭重感を軽減し、頭部(三半規管)の水分代謝を良くし、船酔い用の症状を除くこと。
治療に使ったツボは、左右の通天穴・二点、左右の天柱穴の左横と右横、合わせて四点。合計六点のみ。
刺し方は、企業秘密。(笑)
うそうそ。
天柱穴付近の四点は、鍼を下方(足方向)に横刺近い斜刺で入れて行く。
通天は横刺で。皮下に滑らすように入れて行く。
治療直後
(感想等) 治療直後、「首がなんとなく、ポカポカして来た!」と言う。
なんとこの、たった一回の治療で、三ヶ月間苦しんだ首もふくめ、諸症状が完全に無くなってしまった。
「念のため」と3回ほど通ってこられたが、それ以降は来なくなってしまった。
「治癒」としてカルテを閉じた。
感想(考察)
この患者さんの場合は、年齢的な体力の衰えと運動不足、若干の冷えの症状があるものの、臓腑に特にこれといった悪いところがなく、純粋な外傷性のむちうち症だけだったので、たった一回の治療で治ってしまいました。
おそらく、臓腑に何らか異常があり、その影響が弱いところ(この方の場合は「首」)をねらって症状を出していたならば、こうは簡単には行かないでしょう。
「どうだい、スゴイだろ、オレ!」と、言っているわけではありません。(笑)
臓腑に何らかの悪いところがある時とない時の「治癒のスピードが違う」という事が言いたかった症例です。
たとえば、同じむちうち症でも、むちうち症(デスクワークと心下のつかえが吐き気に影響したむちうち症の症例)の場合は、治癒までの期間が長いです。
参考にして下さい。