虚弱体質が改善され、元気になった症例。小児はり。鍼灸治療。

小児鍼症例⑤ 虚弱体質が改善され、元気になった症例。

患者/0才7か月・男児。

主な症状(主訴)/虚弱体質。

症状(現病歴)/

 近所の子どもや上の子ども(長女)にくらべ、明らかに元気が無い。
 あまり泣かずに、ポケーっとしていることが多い。

その他

 ・手術や長期入院などされましたか? いいえ
 ・生まれたときの体重 2688g
 ・現在体重 9㎏
 ・ご飯は? 食が細い。
 ・便は? 普通。
 ・睡眠時間 8時ごろから9時ごろ。
 ・昼寝は? する。
 ・分娩 普通分娩。
 ・食物アレルギー 不明。

東洋医学的 四診(所見)と治療方針
 
 笑いもせず、泣きもせず、あまり表情が無いように思える。
 お母さんが言うとおり、ポーっとしている感じ。
 しかし病的なものをあまり感じなかったので、「性格なのかもしれない」と判断し、「虚軸体質を改善せねばならない!」と意気込むことはあえてせず、体調管理を目的に置く。
 治療は、「軽く」を基本とする。

治療と経過

初診(某年1月11日)
 皮膚にあまり力が無かったが、「脱力」というレベルではなく、「元気が無い」という感じ。
 治療は、皮膚をもんで、こねて、血のめぐりを良くする心つもりでおこなう。
 強くなり過ぎないように注意しつつ、やや力強く補的にはりをおこなう。
 週1回程度通うことをすすめる。

第二診(1月18日)
 治療中も治療後も、あまり「手ごたえ」のようなものを感じなかったので心配していたが、「良くミルクを飲むようなった」と言う。
 「生後3カ月ごろから母乳が出にくくなり、ミルクで育てているが、それが(元気のない)原因か」と聞くので、「出ないものはしかたがないので、心配せずに飲ませなさい」と言う。
 治療は「第一診」に同じ。

第三診(1月25日)
 治療は「第一診」に同じ。

第四診(2月1日)
 治療は「第一診」に同じ。

第五診(2月8日)
 治療開始から約1カ月を過ぎ、「最近は、砂場でも他の子どもとあそぶようになった」と言う。今までは、ずっと砂を掘って、スコップですくい、砂を落とし、砂を掘る…。というような遊びを延と々続けていたという。
 治療は「第一診」に同じ。

感想(考察)
  
 はじめ、パッと見た時は、「自閉症」や「何らかの染色体の異常」も考えられるくらいの、虚脱感をかもし出していたが、「どうも、違うな~」と言う感じがした。
 何回か治療をするうちに、「あぁ、深く考え込んでいる子なんだ」と気づきました。
 子どもとはいえ、「哲学的に思索している子ども」もいるのです。
 いろんなことに興味を持ち、「これは何だろう?」と考え始めると、脳の発達がまだ未熟なので、考えがまとまりません。
 そういうお子さんもおられます。

 週1回の治療を約3ヶ月間おこないました。
 ずいぶん元気になり、食欲も増し、周りの状況にも興味をしめすようになりました。
 お母さんは、「近所の子どもや上の子ども(長女)にくらべても、遜色(そんしょく)がない」と喜んでいた。