長年悩んでいた緊張型頭痛が、たった2回の治療で治った症例

長年悩んでいた緊張型頭痛が、たった2回の治療で治った症例。

患者/60歳代前半の女性。中肉中背。

主な症状(主訴)/頭痛(緊張型頭痛との診断)。

症状(現病歴)/
 医療機関にて、「緊張型頭痛である」との診断をされる。処方された痛み止めを常用。
 若い頃は、肩なんてこったことが無かったが、40歳代中頃から首筋や肩がこる事が多くなった。しかし、仕事の忙しさにかまけて、そのまま放置した。
 50歳代に入り、首コリ肩コリがひどくなると頭痛するようになったが、市販の頭痛薬で痛みが通り過ぎることも多く、あまり気に留めなかった。
 50歳代中旬から、頭痛が前頭部から後頭部に広がり、鈍痛が長く続く。
 市販の薬では対処できなくなり、医療機関を受診。緊張型頭痛の診断を受け、痛み止めを処方される。
 最近は、医療機関でもらった痛み止めも効かなくなり、痛みが始まると、布団の中でうずくまることが多くなったいる。
 痛み止めを服用すると、鋭い痛みはなくなるが、「バケツを被り、コンクリートのブロックを頭にのせているような、閉塞感と頭重感がある」との事。
 「痛み止めをずっと飲み続けるのもなんだかな~」と思ったので、来院。

その他の持病など(既往歴)/帝王切開の手術痕あり。

家族歴/特筆すべき事項なし。

東洋医学的 四診(所見)
 脈診/尺中を沈めていくと、ややパワフルに打ちかえしてくる以外は、特に問題はない。
 舌診/舌下静脈の怒張が顕著。
 腹診/季肋下がややつまっているが、許容範囲だと思う。
    帝王切開手術の痕がある。その部分に沿って、「寒」と「やや虚」がある。
 触診/首のコリ、顕著。
    肩のコリは、「言われれば、在るかな~」という程度。
    背中のコリは、両側に、まーまーあり。

東洋医学的な概念的理解(診断)
 脈診では、身体の奥部(下焦より下の部分)になにかありそうな暗示。
 舌診では、オ血の存在を確認。
 腹診の季肋下(心下の部分)が詰まっているのは、「よく食べるよ~。食べ過ぎるくらい」と言っていたので、その影響ではないか。治療を開始するほどのつまりではない。
 帝王切開の手術の痕の周りが、「寒(ひ)」えていたり、「やや虚(元気ではない状態)」なのは、よく有ること。これと緊張型頭痛の関係は低い。(もちろん、皆無ではないが…)

西洋医学的な理解 /省略。

治療と経過
 
第1診/某年5月14日
 触診で、首のコリが顕著だったので、「これをゆるめてやったら、何とかなるんじゃね」と思い、首コリを中心に鍼治療。背中のコリ、肩のコリにも対応するが、軽く流す程度。←鍼。
 時間が有ったので、帝王切開の手術の痕の「寒」と「やや虚」を、温めて補う。緊張型頭痛の原因ではないので、治療は「全身の調節程度」の刺激量にとどめた。

治療直後(感想等)/「あら? 頭が軽くなった!」と喜んで帰る。

第2診/5月21日
 治療院に入って来るなり、「先生、これ、見て!」とぶんぶん頭を振り回してみせる。
 「ここ10年くらい、痛み止めを手放せへんかったけど、初診の次の日の朝から、1錠も飲んでないよ!」と喜んでいた。
 触ってみると、頑固そうだった首の筋肉のコリが、うそのように緩んでいる。
 この日は、「側頭部に違和感が残る」というので、側頭部を軽く治療。

このあと、2~3カ月に1回程度、「頭が重い」と来院する。

感想(考察)
 緊張型頭痛は、首コリ、肩コリ、背中のコリを何とかすれば、何とかなる場合が多い疾患です。
 「比較的治りやすい症状」と言えますが、これほど早く治ったのも珍しい。
 たった2回(ほぼ1回)で、どんな緊張型頭痛も治ると思ってもらっては困ります。
 長くかかる人もいます。