鍼灸院の選び方

現役鍼灸師がそっと教える、「良い鍼灸院」の選びかた。

はじめに。

 このホームページを立ち上げてから、全国各地からメールやお電話を頂くようになりました。
 北は東北・仙台市から、南は九州・福岡市まで。
 「北は北海道から、南は九州・沖縄まで!」と、日本列島を制覇したいと思いますので、北海道と沖縄の方からのメール、お待ちしております。【笑】

 冗談はさておき、 「全国」どころか先日、「インドに長期滞在している友人から、『愚楽庵のホームページを見て、質問したいことがあるから、かわりにメールしてくれ』と頼まれました」と、メールが来ました。
 話によると、インドのパソコンからでもインターネット通じて日本のホームページを見られるそうですが、インドのパソコンの中に、「日本語対応のメールソフト」がないらしく、こちら(石部鍼灸院)にメールを直接送れないので、日本の友人を経由(FAX)して、質問してきたそうです。つまり、こう云うことです。

 インド→見る→石部鍼灸院のホームページ。
 インド→FAX→日本の友人→メール→石部鍼灸院。

 全国どころの騒ぎではなく、全世界から見れるんですね~、ホームページって。
 今さらながら、感動しています。
 
 インドの話はさておき、いただいた質問の内容多くは、やはりご自身の身体についての質問が一番です。または、ご家族や親戚の方の病気を知り、いろいろ調べているうちに、「石部鍼灸院」にたどりついたと云う方も多いようです。
 また、それと同じくらいの数で、「鍼灸院」についてのご質問も受けます。つまり、

 「○○に住んでいるのだが、近所に良い鍼灸院がないか?」という質問です。

 私の所属しておりました、いやしの道協会の諸先生方が、メールをくださった方のお近くで開業している場合は、そちらを紹介しております。また、大阪近辺の方で、我が石部鍼灸院に来るのが困難だと思われる方には、専門学校(行岡鍼灸専門学校)の同級生などの治療院・施術所を紹介しております。
 ただ問題なのは、私の顔がまだまだ狭く、質問を頂いた方に、適当な治療院を紹介できない時が多々あるということです。

 「どうしても、紹介してくれ」と言われれば何とかしますが、しかしそれは、「知り合いの知り合い」というくらいのレベルで、「自信を持って紹介できる」というレベルのものではありません。
 関東および関西については、自信を持ってご紹介できる治療家がたくさんおられるのですが・・・。

 そこで、「良い鍼灸院の選び方」というものを考えてみました。

 「鍼灸師である私自身が、もし自分を治療してもらうとしたら、何を基準にして鍼灸院を選ぶのか?」

 このテーマは、非常に興味深く、世に問うて意味のあるテーマだと思い、ページをおこしました。
 う~ん、すばらしい(自画自賛)。

 少々「字ばっかり」のページが続きますが、ご容赦ください。

まえふり的なお話。

 物事には必ず順番があります。いきなり「鍼灸院の選び方」に行く前に、まえふり的なお話もしておきます。がまんして読んで下さい。

 さて、

 あなたは病気です。あなたは病気です。藁(わら)にもすがりたい気持ちです。
 あなたは病気になって困っています。近くの病院でも、紹介された総合病院でも、徹底的に西洋医学的な検査をしてもらいました。
 しかしあなたは、

 「原因が分からない」と言われました。
 「これは治らない」と言われました。
 「この病気は治りにくい」と言われました。


 とにかくあなたは、病気で困っています

 さてこんな時、あなたならどうしますか?



 ごく一般的な行動としては、「病院のはしご」です。
 「この医者は信じられん」と、病院を次々に変えていきます。あなたにとっても、あなたの家族にとっても、あなたの身体は大事な身体です。一人の医者にまかせっきりにしてはいけません。「病院のはしご」は、けっして悪いことではありません。
 しかし病院や医者をいくら変えても、同じ事を言われるのが大半ですね。ごくまれに、良い先生にめぐり合って、「一緒にがんばって、この病気と闘いましょう」とはげまされる事もあります。が、それは奇跡的なことです。たいがいは、「この前の病院でも同じこと言われたでしょう。これ(病気)、治りにくいのよ~。がまんするしかないね~。とりあえず、痛み止めでも出しときましょうか?」みたいな事を、言われるのがおちです(「とりあえず」って何、「とりあえず」って!!)。
 ここで、大半の方は諦めます。何軒、病院と医者を変えても、同じことを言われるのですから、「しょうがない。諦めよう」って、なるのでしょうね。

 しかし事は自分の身体のことですから、諦めきれないのが本当の気持ちです。諦め切れない人は、西洋医学以外の治療法を模索し始めます。
 それは、とてもよい行動です。なぜなら、「医学」には、「西洋」だけではなく、「東洋」もあるからです。西洋医学だけが「医学」ではない。東洋医学も、立派な医学です。

 今現在日本には、西洋医学以外にも、た~くさんの治療法と治療院が存在します。そのすべてが「東洋医学」という枠でくくられるわけではありませんが、「西洋医学以外」ということで、ちょっと思いつくだけあげてみましょう。もしかすると、「あなたの病気」が治るかもしれません。

 まず、鍼灸でしょう。それから整骨。按摩(あんま)、指圧、マッサージ。
 マッサージには本格的なマッサージもあれば、足ツボマッサージやクイックマッサージなんて手軽なものもある。整体、カイロプラクティック、オステオパシー、アロマテラピー。この前、色んなホームページを見ていたら、「トータルボデー何とか」とかいうのも見ました・・・。

 まず迷いません? 多すぎません?

 なんか種類が、多すぎますよね~。迷うでしょ?
 ここで、「鍼灸院へ行こう!」となったらもうけものです。きっと、「あなたの病気」は治ります。
 いやいや失礼、「きっと治るでしょう」ではありませんね。「きっと治る、『きっかけ』がつかめるでしょう」ですね。そうしとかないと、「鍼灸院ならどこでも治る」という事になってしまい、これから読んでいただく予定の、「良い鍼灸院の選び方」というページの意味がなくなってしまいますから。

 さて私は言うまでもなく、鍼灸師です。あんま・マッサージ・指圧の免許も持っています。この免許で十数年、メシを食ってきたので、自信を持ってこれだけはいえます。
 鍼には、ものすごい治療効果が有ります。想像を絶することが、日常茶飯事です。十数年これ(鍼ともぐさ)でメシを食ってきた人間が言うのですから、間違いありません。鍼はよく効きます。

 それでは、鍼以外の治療法は「ダメ」なのでしょうか? 

 そんなことはありません。他の治療法・治療院もよく効きます。たった1回の治療で、「あなたの病気」をウソのように治してくれる治療院もあるでしょう。私は鍼のすばらしさを実感する鍼灸師の一人ですが、鍼以外に治療法を否定する者ではありません。その点はお間違いなく。

 ただこれから、「たった1回の治療で、ウソのように直してくれる治療院や治療家」に、めぐり合うのがものすご~~~く、大変なのだ! と、いうお話しをさせていただきます。
 まず最初は、「あんま・マッサージ・指圧師」についてです。


 まず、知っておいていただきたいことがあります。それは、

 「あんま・マッサージ・指圧師」の「免許証明書」は、「国家資格」であり、専門学校に3年間通い、卒業した後国家試験を受け、合格すればはれて、「あんま・マッサージ・指圧師」になれるという事です。

 「何を今さら、そんなことは知ってます」と言われる方もおられるかもしれませんが、これがひじょ~~~に、重要なキーワードなのです。

 あんま・マッサージ・指圧の専門学校は3年間通わなければなりません。もちろん卒業もしないと、国家試験を受ける権利すらもらえません。
 専門学校での3年間、学生はみっちり、「西洋医学」の基礎知識を叩き込まれます。

 マッサージはヨーロッパ発祥です。あんまは中国。指圧の原型は中国のものと思われますが、これは日本で独特に発展してきたものです。ちなみに日本の鍼・灸は、中国生まれの日本育ちです。こうして見ると、大きなくくりとして、あんま・指圧・鍼・灸は東洋医学の系統、マッサージは西洋医学の系統と、くくれそうですね。

 それなのに、専門学校での勉強は西洋医学一辺倒。それはなぜでしょうか?
 それは、国家試験の設問が西洋医学中心で、東洋医学系の設問がほとんどされないからです。なぜ、「国家試験が西洋医学中心で、東洋医学系の設問がほとんどない」のか? その理由は知りません。厚生労働省に聞いてください。
 現在でも、西洋医学一辺倒の国家試験やそれに合せた学校でのカリキュラムの「弊害」が、業界内で多く議論されています。私も偏りすぎていると思います。
 しかし、「西洋医学中心のカリキュラム」のおかげで、助かっている部分も多くあります。それは、「卒業後、患者さんからいろいろな病気の相談をされても、専門的な細かいところを除けば、たいがいの相談にはのれる」という点です。

 これは大きな力です。

 何が「大きな力」かといえば、患者さんの話を聞き、あんまや指圧、マッサージを通して患者さんの身体に触れることによって、病気の危険度を知り、的確にアドバイスができるということです。
 我々は患者さんから、あらかじめ医師の診断名(病名)等を聞くことにより、患者の状態をある程度おしはかり、この患者さんが危険な状態なのか、そうでないのかを知ることができます。つまり、「この患者は治せる!」のか、それとも、「手におえない、医師の管理にゆだねた方が早い!」のかの判断がつくということです。
 この点については、専門学校の果たしてきた役割はものすごく大きいと私は思います。
 誤解の無いように書いておきますが、私は、西洋医学一辺倒の国家試験やそれに合せた専門学校でのカリキュラム、西洋医学の弊害の一つである「病名治療」などを、無批判に肯定するものではありません。
 あくまでも、患者さんに相談された時、西洋医学は「役に立つ」ということです。


 さて最近、「マッサージ」の看板を良く見かけるようになったと思いませんか?

 ものすごい勢いで増えましたね。ようやく高槻でも、「新規開店」は少々落ち着いてきた感が有りますが、それでもものすごい数です。
 駅前に行くと、「足ツボマッサージ、1コース・2000円」、「クイックマッサージ、10分・1000円」なんてきれいな看板がかかっていて、きれいなカーテンがかかっていて、まるで「エステ」にでも来たかのような「マッサージ・サロン」が本当に多くあります。
 そして、若くてきれいな女の子や元気ではきはきしたお兄ちゃんなんかが白衣を着て、「いらっしゃいませ、いががされましたかー!」なんて出てくると、「何か気持ちよさそーやな~」って、入ってしまいそうです。・・・が、ちょっと待ってください!!
 
 あなたはだまされています。

 どこをどう騙されているか、ご説明いたします。

 ものすごい勢いでマッサージの治療院が増えています。それならば、あんま・指圧・マッサージ師を養成する「専門学校」も、ものすごい勢いで増えているはずですね。これだけ爆発的に増えているのですから。実際はどうでしょうか?

 あとでも書きますが、「鍼灸師」を養成する専門学校の数は、たしかに膨大に増えています。関西圏でも約3~4倍に増えています。20年ほど前はたった4校だった鍼灸専門学校が、現在は13校までに増えています。べらぼうに増えております。
 この「4校」の専門学校のうち、「あんま・マッサージ・指圧科」を併設しているところはたった2校しかありませんでした。が、現在でも2校のままです。
 1校あたり約50人定員で、2校で約100人です。ただしこの数は、晴眼者(目の見える人)だけの数です。この他にも、聾学校・盲学校の卒業生で、マッサージ師の資格を持っている人もいますが、その数は含まれておりません。なぜ含まれていないかと言えば、手もとに資料がなかったからです。すみません、今度調べておきます。
 とは言え、その数が極端に増えたという話は聞いていません。

 2校で100人、関西で100人。20年前も100人、今も100人。

 あれ~? おかしいでしょう?
 何で、あんなにマッサージの看板が増え、マッサージの治療院が増えたのに、それを養成する専門学校が増えてないの・・・?
 マッサージの「看板」と、マッサージの「治療院」の数は増えたのに、マッサージ師の数はまったく増えていないの・・・?


 そう、もうお解かりですか? そうです、正解。無免許です。 


 あとでも詳しく書きますが、最近開業した駅前のきれいな治療院は、避けた方が無難です。ほぼ100%、「あんま・マッサージ・指圧師免許」を持っていません。

 患者さんの多くは、我々が白衣さえ着ていれば、「この先生は、いろいろ勉強もして、人間の身体のことをものすごく知っているんだろうな~」と勘違いされていますが、そんなことはまったくありません。
 白衣なんて、安いものは3千円程度で買えます。そんなものに、だまされてはいけません。ちゃんと国家資格を持った、「あんま・マッサージ・指圧師」のいる治療院に通いましょう。

 しかし、このような「無免許マッサージ師」がはびこるのはなぜでしょうか? それは、鍼灸院やマッサージ院の開設や衛生管理について指導する保健所自信が、「身体に危害を加えるような、危なっかしい行為以外は取り締まりません」という態度を取っているからです。保険所というか、厚生労働省がそういう態度です。
 危害を加えようが加えまいが、無免許は無免許ですから、取り締まってくれてもよさそうのものですが、まったくノータッチです。
 そのくせ我々が鍼灸院を開こうとすると、間取りがどうとか、換気扇つけろだとか、消毒設備がどうとか・・・。

 うるへぇ~!


 さて、国家資格(免許)を持っているあんま・マッサージ・指圧師も、免許を持っていないナンジャモンジャも、同じ「マッサージ」の看板をかけていますから、患者さんは困ります。迷います。どうすれば見分けられるでしょうか?

 まずはじめに、「最近開業した、駅前の、きれいな治療院」は、避けた方が無難です。ほぼ100%、免許は持っていません。治療院の開設者(院長)とその側近の数名くらいは免許を持っているかもしれませんが、若いスタッフのほとんどは持っていません。きれいなお姉ちゃんや若くて元気なお兄ちゃんが出てきたら、飛んで帰って来てください。避けた方が無難です。

 ただ、私の同級生に、大阪の心斎橋で、クイックマッサージの店を開いている方がいますが、そのお店は、その方(院長)も含めてスタッフ全員が免許を持っていますので、クイックマッサージ店のすべてが、「無免許店」だというわけではありません。まじめにやっているところも有るということも、知っておいてください。

 それでは、マッサージを受けようと思った方は、どんなところに行けばいいのでしょうか? 

 それは、さっきお話し店とはまったく反対の店を探します。

 まず、最近開業したところは、避けましょう。新しいところは危険です。とりあえず、昔からそこにある治療院を探します。

 それではそんな治療院は、どこにあるでしょうか? 駅前にはまずありませんよね。閑静な住宅地の一軒家の1階部分を改装して、治療院にしているようなところがベストです。駅前や駅の近くでも、商店街からひと筋かふた筋離れたところにある、こじんまりとした治療院がベターです。

 「すみませーん」と声をかけて、おっちゃんやおばちゃんが出てきたら、「当たり」です。じーさんなのに、腰のシャンとした、仙人のような老人なんかが出てくると、「大当たり」です。おめでとうございます。心も身体もすべておまかせして、術者にゆだねて下さい。必ず治ります。

 一番手っ取り早い方法としては、病気をいっぱい持っていそうな人に、「良いマッサージ屋さん知らない?」と、かたっぱしから声をかけて、かたっぱしから通って、かたっぱしからもんでもらうことです。5軒も通えば、良いところが見つかるはずです。


 「昨日あんま屋さんにあんましてもろたら、今日だる~て、しゃーないわ~」

 って、いう話を良く耳にします。ゴリゴリもんでもらっているようです。もんでもらっている間は良いですが、あとで、痛くなったり、だるくなったりよくします。いわゆる「もみおこし」ですね。

 もみおこし自体は、悪いものではありません。もみおこしの時期が過ぎれば、スーッと身体が楽になります。

 しかし、もみおこしを起こさなければ「治らない」というものではありません。もみおこしの時期が無いほうが、身体には負担をかけません。あったらあったで良いが、無ければ無い方が良いという感じです。

 もみおこしは簡単に言うと、「刺激過多」です。あんまの刺激量が身体のキャパを越え与えられたために、身体が防御反応を示すのです。1~2日もすれば、過多だった刺激量も自然に吸収され、もとに戻ります。

 しかし、無ければ無いほうが良いならば、なぜなくならないのでしょうか?

 それは、「あんま・マッサージ・指圧」というものが、「治療」という面と、「慰安」という面を両方あわせ持つ治療法だからです。

 あんま・マッサージ・指圧も、名人クラスになると、何でも治します。肩こり腰痛なんてレベルのものではなく、内臓疾患も、免疫疾患も、精神疾患も、何でも二本の腕と十本の指で治します。

 しかし、「今日は肝臓の調子がおかしいな~。マッサージでも行くか~」って、あんまりならないでしょう? やっぱり、「今日は肩こってんな~」でしょう?
 
 このイメージが、あんま・マッサージ・指圧にどうしてもつきまとってしまうんですよね~。こっち(治療家)は、「治療」って思って施術しても、患者さんは治療とは思わず、「慰安」だと思っている。だから、「そこそこ、もっともっと、あぁ~、気持ちよろし~な~」になってしまう。

 いくら「治療家」とはいえ、「経営者」でもありますので、少しは患者の要望も聞かんとあかん。「もっともっと」という声に、もっともっとと手を加えているうちに、刺激が過多になって行きます。

 はっきり言います。あんま・マッサージ・指圧は、弱い方が効きます。強い刺激に対して人間の皮膚や筋肉、組織は自己防衛しだして、刺激が奥に伝わりません。これでは表面的な治療にしかなりません。これに対して弱い刺激に対しては、奥まで刺激が伝わります。筋肉も良くほぐれます。

 筋肉さえもめば楽になると思っておられる方もおられますが、実は筋肉の「こり」というものは、筋肉自体のコリではなく、筋肉のはしっこにくっついているスジのコリなのです。どんな筋肉でもはしっこにスジがくっついています。スジは主に骨にくっついています。筋肉がちじまるとスジを引っ張り、スジが動けば骨が動く仕組みです。

 しかしこのスジがこって硬くなり、上手く動かない。上手く動かないものを無理やり動かすので、周りの組織をいためる。そして、炎症がおこり、熱が出て、痛みが出てきます。

 このスジを軽くつまんだり、押したりしながらやさしく動かしてやると、スジの中の血行が良くなり、老廃物が押し流されるとともに、周りの組織と炎症をおこし張り付いているものがはがれ、スーッと身体が楽になります。

 筋肉なんていうものは、あれだけ血管が通っています。そんなにゴリゴリやらなくても、スジを緩めてやれば、自然とやわらかくなります。

 あんま・マッサージ・指圧は、「もうちょっともんでほしいな~」くらいがベストです。「腹八分」とよく言います。あんま・マッサージ・指圧も、70~80%くらいがちょうどよいでしょう。

 ですので、患者さんの体格や体調にかかわらず、ゴリゴリもんでくるような治療院は、私は避けます。

 やさしくもんでいるように見えて、奥まで刺激がとどいている様な感じがすればもうけものです。その治療院は、「当たり」です。さらに、そんなに痛くも無く、やさしくもまれただけなのに、次の日に、「もみおこし」が出たら「大当たり」です。そういう治療院とは、一生お付き合い願いたいものです。

 さて、整骨院(接骨院)について若干書いた後、整体院、カイロプラクティック、オステオパシー、アロマテラピー、はたまた「トータルボデー何とか」について、まとめて書いていきたいと思います。

 はじめに書いておきますが、「柔道整復師」は国家資格です。それ以外は、都道府県認可もしくは、勝手に団体を立ち上げ、自分たちで「認定」を与えたものであるということを知っておいて下さい。


 整骨院開業には、国家資格が必要です。


 柔道整復師の養成学校(専門学校)に3年間通い、所定のカリキュラムを受け、卒業し、国家試験に合格した者は柔道整復師となり、整骨院(接骨院)を開くことができます。ですから、「整骨院」と書かれた看板を街中で見たら、「ここの先生は、3年間専門学校に通ったんだね~」と、思ってやってください。

 また街頭では、「鍼灸整骨院」の看板もよく見かけます。よくよく話を聞くと、「鍼灸」と「整骨」は同じ免許だと思っておられる方も若干いてはりますが、まったく別物です。ですので、「鍼灸整骨院」の看板を見たら、「ここの先生は、整骨3年、鍼灸3年の計6年、専門学校に通ったんだね~」と思ってください。とっても偉い方です。

 「整骨院」と「整体院」を同じものだと思っている方もいます。「骨」と「体」。名前は良く似ていますが、まったくの別物です。「整骨院は3年間の専門学校、整体は20時間のセミナー」とまず覚えておきましょう。ここ、試験に出ます。

 出ない出ない・・・。(笑)

 試験には出ませんが、あとでもう一度話が出てきますので、頭の片隅に置いておいて下さい。
 
 はじめに断っておきますが、私は柔道整復師の免許は持っていません。ですから、これから書く話は、「柔道整復師の友人から聞いた話」がメインです。私の意見ではなく、友人の意見ですので、下記メールボックスから「抗議のメール」を送る等は、どうかご遠慮ください。


 さて、整骨院で健康保険が使えることは、広く知られています。ただし、「捻挫・打撲・挫傷(打ち身の事)・外傷性の骨折・脱臼の場合に限る」とされています。また、「外傷性の骨折・脱臼に関しては『医師の同意書』が必要」となっています。

 ですから、日常生活での単なる疲れや肩こり・腰痛の場合、外科・整形外科等で治療を受け、治療や投薬(内服薬・貼り薬・塗り薬など)を受けている場合、スポーツなどによる筋肉疲労、筋肉痛、数年前に治癒した箇所が自然に痛み出したものなどは、保険の適用にはなりません。

 あくまでも、「捻挫・打撲・挫傷・外傷性の骨折・脱臼の場合に限る」とされています。

 さてここで一つ、みなさんに質問です。「捻挫」をしたら、みなさんはどこに行きますか? 私は知り合いに柔道整復師もいるので、整骨院に行きます。しかし、みなさんはどうでしょう? 多くは、整形外科に行くのではないでしょうか?

 まーまー、捻挫・打撲・挫傷くらいなら、整骨院に行っても良いと、思いません? しかし、骨折や脱臼になったらどうでしょうか? 多くは迷うひまもなく、救急車に乗せられて、整形外科に一直線ですね。ここが今の整骨院につらいところです。

 60代・70代の整骨院の先生の腕は、恐ろしく良いそうです。脱臼でも骨折でも、レントゲンなしで、一発で入れてしまうそうです。「あー、痛そうやね~。大丈夫、大丈夫。ちょっとじっとしといてね~」とかいいながら、腕を持った瞬間、クイっとひねったかと思うと、もうちゃんと「整骨」されているのですからたいしたものです。それはもう、「神業に近い」ものがあります。

 しかしながら、近年の「救急医療」の発達により、脱臼・骨折はすぐ救急車で病院(整形外科)に運ばれてしまい、若い柔道整復師は、脱臼や骨折をした患者に「触る」ことはおろか、脱臼・骨折の整形をしているところを「見学」することもままならないそうです。

 伝統的な整骨技術継承の、「危機的状況」です。

 鍼や灸にしても、あんま・マッサージ・指圧にしても、ひとつの「技」です。その習得には、長い経験と努力が必要です。しかし柔道整復師にとって、脱臼・骨折は前述のとおりです。技の習得がそもそも難しい上、習得してもいかす場所がないというのが現状です。ですから整骨院では、「整骨」以外にどんな技術を持っていて、いかにして治癒に導いてくれるのかを見極めなければなりません。その見極めは患者さんにとっては、「極めて難しい」と言わざるを得ません。同じような業種に属している私ですら、見極められません。

 ただし、若くても腕のいい人はいます。今は柔道整復師の専門学校も増え、柔道などの格闘技を経験していない人もたくさん柔道整復師になっていますが、ケガの耐えない格闘技系のスポーツをしている人は、捻挫、挫傷、脱臼などが日常茶飯事ですので、整骨の技術は確かです。しかしいちいち、「おたくは格闘技やってます?」って、聞いてまわるのもなんですね~。難しいところです。

 ただ、マッサージ師の真似事をして、通るはずのない保険を無理やり通しているようなところには、かかりたくはないですね。それだけは言えます。


 さて、「整体院」の話も書いておきます。

 整骨院と整体院とは、名前は似ていますが、まったくの別物です。「まったくの別物だって、ちゃんと書いてね」って、友人に言われたので、ちゃんと書いておきます。
 しかし、勘違いされておられる方も多い。むかし喫茶店で、知らないおばちゃん同士がこんな話をしていました。


おばちゃんA  「Bさんに聞いて、○○整骨院に行って来たけど、保険きかへんって言われたで~」
おばちゃんB  「Aさんあほやな~。○○さんって言ったら、整体院やがな~。」
おばちゃんA  「○○さんは、整体院かいな~。整骨院とちゃうんかいな~。整骨院と整体院と、よー名前が似てるから分からんわ~」
おばちゃんB  「よー覚えときーやー。保険がきくのが整骨院で、きかへんのが整体や!」
 

 ちょ、ちょ、ちょ~っと、待ってくださ~い! そうじゃないってば~!


 整骨院では上で書きましたとおり、捻挫・打撲・挫傷・骨折・脱臼の場合に限られますが、保険がききます。それは確かです。整体院では保険はききません。実費治療のみです。これも確かです。

 「整体とはどんな治療法か?」という事もちゃんと紹介しとかないといけませんが、めんどくさいので書きません。詳しく書こうと思えば書けますが、めんどくさいので書きません。他のホームページで調べてください。簡単に言えば、「骨盤矯正」をひとつの特徴とした、体のゆがみを整えることにより、身体の諸症状の緩和と緩快をはかる治療法です。体のゆがみを整えるという点では、カイロプラクティックに似ていますが、カイロはもっと細かく骨のゆがみを見ていきます。

 あんま・マッサージ・指圧がおもに「筋肉系」にはたらく治療法だとすれば、整体・カイロは、「骨系」にはたらく治療法だといえます。もちろんこれは、各治療法の「表面的な理解」であって、それぞれの治療法はそれぞれ奥深く、真の「治療家」となるのは、長い経験と研鑽が必要です。

 先に私は、いろいろな治療法の名前をあげましたが、どれ一つをとっても、「この治療法はダメだ、あの治療法はダメだ。鍼・灸が一番よろしい」なんて事は、一言も言っていません。

 国家資格であるあんま・マッサージ・指圧師や柔道整復師にしても、国家資格ではない整体師、カイロプラクティック、オステオパシー、アロマテラピー、はたまた「トータルボデー何とか」にしても、その分野の第一線で活躍されている方は、神のような技を使います。その効果と威力に思わず唸(うな)ってしまうような方を、私はたくさん見てきました。だから「あれはダメ、これはダメ」とは言いません。どれもすばらしい治療法です。

 ただ私はここで、その技術の習得に、業界全体が、どれだけ「保障」をしているのかということを、問題の柱(はしら)にしています。



 その業界は、何を保障してくれるのか?


 私は大阪にある行岡鍼灸専門学校を卒業しました。恥ずかしながら、52人中49番目の成績で卒業しました。下から3番目です。とほほ・・・。卒業後の西洋医学の勉強は、特に専門書を買うでもなく、セミナーに通うでもなく、おもに、「NHK今日の健康」のテキストでしました。あのテキストはすぐれています。

 テキストには載っていないような専門的な知識は、「医学大辞典」をひいたり、専門学校の時の教科書を引っ張り出したり、インターネットで調べたりしています。が、NHKのテキストで十分患者さんと話ができます。もちろん、「これは鍼灸で治せる or これは医者に任せたほうが早い」の判別もつきます。

 それはなぜかというと、専門学校の3年間で、曲がりなりにも、最低限の西洋医学的知識を学ばされたからです。

 ここがポイントです。

 もう一度言います。ここがポイントです。こういうちゃんとした「勉強をさせるシステム」が、鍼師、灸師、あんま・マッサージ・指圧師、および柔道整復師にはあります。しかし他の治療法には、そういったシステムがないということです。「まったく無い」といってしまえば語弊があります。ある一定の期間をとって、ちゃんと学ぶべきことを学ばせているところもあります。しかし、業界全体として統一された基準がまったくない。ココが問題点です。

 たしかに、国家資格である鍼灸師やマッサージ師にしても、国家資格でない整体師にしても、施術者(治療家)によって上手い下手はもちろんあります。はっきり言って、国家試験を通ったばかりのペーペーの鍼灸師よりも、何十年も臨床してきた整体師のほうが腕は上です。私も、「どちらの治療を受けたいか?」と聞かれれば、「何十年もやってきた人」と答えます。

 しかし問題はそんなことではなく、その業界全体として、何を保障してくれるかということです。

 たとえば町のラーメン屋さん。まったく独学で店を立ち上げた人は、「美味い」か「まずい」のどちらかしかありません。しかし、それがチェーン店のラーメン屋になると話はかわります。美味い・まずいの問題はさておき、「ある一定のレベルの味」は保障してくれます。「あそこのチェーン店に行けば、あれくらいの味だ」という想像がつきます。

 しかし、チェーン店ではないところは、何の保障もありません。美味いもまずいも、すべてはお客さんの責任です。

 これと同じことがこれらの業界でも言えます。3年間専門学校に通わせ、国家試験を受けさせ、国家資格を持たない者にはその仕事を生業(なりわい)とさせない。このことは、その国家資格(免許)を持つ者は、ある一定レベルの技術と知識を持つ者であるということを証明してくれています。ここがポイントです。

 
 先日、このページを作るために、インターネットで「整体」の「セミナー」について調べてみました。文字どおり、「整体」と「セミナー」を入力し、検索し、かたっぱしからページを開きました。驚きました。あるページにはこう書かれていました。


 「初級・整体師講座-通信」。 ・・・? ・・・通信?


 通信って何ですか! 通信って!!


 あのね~。人の体に触るのよ~。それで、いいんですか~?

 むかし私は、「1回の講習時間が2時間、10回コースで計20時間中、7回出席(14時間の講習)で、整体師の認定書」っていうセミナーがあるという言う話を聞いて、「ひどいな~」って思いました。

 しかし今や、そんなものではない。「本見て、ビデオ見て、ほらもう整体師」の時代に突入しています! 危険、危険、危険!! 危険極まりない!

 さて上で、整骨院では保険がきき、整体院では保険がききませんという話をしました。3年間かけて専門学校に通い、国家試験を受け合格した者と「通信教育」とが、同じく保険使えちゃ、不公平でしょ?



 整体院でも、ちゃんとしているところはあります。結局は、「口コミ」か「免許」ですね~。


 「ちゃんと」というのも、何を指して「ちゃんと」なのかの「定義」がないので、何とも言えませんが、整体院でもお勧めできるところはあります。

 私の知り合いに、「整体」を主な治療法にして、日々治療に尽力されている方がいます。その方は年齢は私より上ですが、私の同級生の方で、もちろん、「あんま・マッサージ・指圧師」の免許を持っています。しかし在学中から学校でのあんま・マッサージ・指圧の実技の授業に満足せず、色々なセミナーに通い、卒業後は「カイロプラクティック」の看板を出して開業しました。

 しかしその後も研究を進め、最終的に行きついたのが、「整体」だったそうです(しかし最近はそれすらも飽き足らず、《整体に似てはいるが、たまったく別の新しい治療法》を学んでいるそうです。詳しくはホームページでは書けない。《極秘事項》だそうです)。

 「整体師」の中には、こういう方もちゃんといます。自らの技術に満足することなく、さまざまな治療家の門をたたき、自らの腕を磨きつづける方もいます。

 また逆に、卒業後、あんま・マッサージはもちろん、鍼灸もすて、「指圧」一本に絞って師匠に弟子入りし、師匠直伝の「秘中の秘」をもって、日々の治療を続けている指圧師の方もいます。

 こういった方々と、「セミナー14時間」や「通信講座」の連中が、まったく別物であるというのは、ご理解できるでしょう。

 それでは、どうやってそれを見分けるか?

 看板は同じ「整体」です。同じ「カイロ」です。マッサージ師の免許を持っていても、治療室に飾っていない先生もいます・・・。

 みなさんは、「うまいラーメン屋」を見つける時、どうしますか? 本を見たり、ネットで調べたり、うわさを聞いたり・・・。けど、最終的には「食ってみないと分からない」というのが、正直なところですよね~。

 「整体」の場合も、やはり「口コミ」です。「あそこの整体院、あかんわ~」という噂はすぐに広がりますが、「あそこ良いよ~、行ってみ~」という噂はなかなか広がりません。ですから、「口コミ」というのは、相当信頼できる情報ということになります。ぜひ、「口コミ」を当てにしてください。

 また実際行った整体院で、「先生は、マッサージ師の免許待ってます~?」と、聞いてください。持ってなかったり、言葉を濁すようなところはやめましょう。もちろん、「持ってるから上手い」とか、「持ってないから下手」というわけではありません。ラーメン屋でもそうです。「調理師免許」を持っているから美味い、持っていないから不味いというものではありませんね。あくまでも「免許」は目安です。

 「あんま・マッサージ。指圧師の免許を持っている上に、整体のセミナーに通い、研鑽をすすめた」となれば、最低限のレベルのことは、やってくれそうな気がしませんか?

 そう、思いません?

さていよいよ、「鍼灸院」編です。ここまでまじめに読んでくださった方、お疲れ様でした。ありがとうございます。いよいよ本題に入ります。

 これまでの話の流れからいって、結論は、「鍼灸院も口コミ」となってしまいそうですが、我々のような業種では、「口コミ」ほど頼りになる情報を私は知りません。

 鍼灸院を選んで行く場合、口コミを頼りにするのが、一番良いでしょう。しかし、そう言いきってしまうと、「選び方」ということで、ページを書いている意味がなくなりますので、何か参考になるようなことを色々と書きます。

 参考にならないようなことも色々書きます。


 さて、「鍼灸治療」といえば、「すべて同じ」と思っている方が多くおられますが、それはまったく違います。

 鍼灸師10人いれば10人とも、100人いれば100人とも、まったく違うと言っても良いでしょう。

 一本の鍼ですべてを治療する方もあれば、多くの針を使う方もあります。鍼治療と言いながら針を使わず、針のかわりに小石や特殊な金属を使う方もいます。ごくごく細い針を使う方もいれば、中国針よりももっと太い針でブスブスやる方もいます。

 また、まったく同じ流派に属している人でも、患者さんのどこを見るのか、患者さんとの接し方など、自分自身が何を見、何を聞き、何を学び、何を考えてきたのか。そして、何を治療するのかによって、まったく違う治療法になります。

 たとえば、痛みの強いところを見るのか、それとも痛みの原因に目をつけるのか、患者さんにとことんやさしく接するのか、あるいはある一定の距離を保つのをよしとするのかによって、その鍼灸院の雰囲気はもちろん、治療法もまったく変ってくると言っても過言ではありません。

 それは「どれが正しい」とか「間違っている」とかいうものではありません。あえて言えば、どれも正しく、どれも正解です。

 まさに、「一人一流派」と言えます。


 とは言うものの、そう言い切ってしまうと、何を頼りにして鍼灸院を選べば良いのか分からなくなってしまいますので、少し詳しく書きます。あくまでも大雑把な説明ですので、ご容赦ください。また、興味のない方は、読み飛ばしてください。知っていても、生きる上で何の役にも立たない知識ですので。

 さて、「鍼灸」が、古代中国に生まれたことは皆さんよく知っておられますね。そのとおりです。約2500~3000年前に、「古代中国」に誕生したと言われています。そして日本に伝わったのは、1500年ほど前です。仏教の伝来と前後する時期だと思います。その後日本に伝わった鍼は、独特の進化をとげます(この辺を詳しく書き出すと長いので、やめておきます)。そして、江戸時代に技術的な革命が起こります。それは、「鍼管(しんかん)」の登場です。
 
 鍼管とは、読んで字のごとく、「鍼(はり)」の「管(くだ)」です。つまり、針をその管の中に入れ、皮膚に管を押し当てます。そして、管から飛び出ている針の頭をちょんちょんとたたき、針の先を皮膚に入れていきます。この鍼管の登場によって、細い針でも皮膚に入れやすくなり、日本の針 は徐々に細くなって行きました。

 この時点で、大きく言って、「中国針」と「日本鍼」に流派が分かれます。

 中国針は「太くて長い」のが特徴です。私も何度か中国針の針を見ましたが、「これ、針金(はりがね)ですか?」って、思うくらい太いです。しかし、名人クラスの治療家になると、あの針金(太くて長い針)を、何の痛みもなく、「スッスッ!」と、皮膚に入れて行くのですから、驚きです。中国針を受けるならばぜひ、「名人」に治療してもらいたいものです。へたくそだと痛いばかりです。

 中国針についてはよく知りませんので、詳しくは、各自調べて下さい。

 さて、私が使っているのは「日本鍼」です。しかしこの日本鍼、大小さまざまな流派があり、とても書ききれそうにはありませんし、その知識もありません。

 それでも大別すると、3つくらいに分けられます。

 脈診系、古典派、筋骨系の3つです。

 まずは「脈診系」。「脈診系」は「脈診」を重んじる流派です。手の親指のつけ根に、動脈が脈打つ場所があります。この脈の速さや力強さなどで、病気の性質や重い軽い、はたまた病気がどこにあるのかまで理解するという、恐るべき診察法です。

 「そんなあほな~」と、思ってしまう方もいるかもしれませんが、案外正確です。けっこう脈を診れるようになるまでに、熟練を要しますので、「お試しください」とはなかなか言いにくいのですが、わりと正確な診察法です。信じていただいてよいかと思います。

 脈を診察すると、どこが悪いのかが分かります。どこが悪いのか分かれば、どう治療をすれば良いのかが決まります。あとは、決められたとおりに治療していけば、治ります。実に簡単です。

 この脈診系の治療法が、日本の鍼の「主流」と言ってもいいでしょう。数も多いし。脈診系の中のある流派は、けっこう大きな「会」を作って、人を集めて、後進の育成をはかっています。

 「脈診系」といっても、一つの流派ではありません。「脈診」を重んじる流派の総称です。

 次に、「古典派」です。ここで言う「古典」とは、中国の古典医術のことです。鍼灸でいえば、『素問』・『霊枢』・『難経』がその聖書(バイブル)です。湯液(漢方薬)をあつかう人にとっては、『傷寒論』がそれです。

 一応鍼灸師は、中国人であれ、日本人であれ、この古典を基礎とするのが「基本」と言うことになっています。が、この内容がむちゃくちゃ難しく、「大切なのは分かっているけど、そこまで手が回らない(勉強できない)」というのが本音です。

 しかし地道に、「古典に帰る」活動をされているグループが多数あります。ここでいう「古典派」も、古典派と言う大きなグループがあるわけでもなく、小さなグループが多く集まって「会」を作っているわけでもありません。古典を地道に学ばれている方々に敬意を表して、「古典派」というグループ分けをもうけました。

 最後は、「筋骨系」です。これも、「筋骨派」というひとつの流派ではなく、大雑把なとらえ方です。

 現在、鍼灸の専門学校では、「東洋医学」はほとんど教えてくれません。「西洋医学」オンリーと言っても過言ではないでしょう。なぜ、西洋医学オンリーになるかと言えば、国家試験の設問が、西洋医学オンリーだからです。東洋医学的な問題は、「つけたし程度」です。ですから、最近卒業した鍼灸師のほとんどは、西洋医学的な「筋骨系」の治療しかできません。もちろん、在学中や卒業後にいろいろな勉強会に通った鍼灸師はのぞかれます。

 「筋骨系」ですから、得意分野は腰痛、肩こり、膝関節痛などです。もちろん、これだけでも良いのですが、せっかく「鍼師・灸師」の免許を持っているのですから、内臓疾患、免疫疾患、神経・精神疾患なども治したいものです。

 その他に、「中医学系」の治療法もあるのですが、これはまたの機会に・・・。簡単に説明すると、中国の古典医術を学んでいるのが「古典派」です。そして、今現在の中国の医術が「中医学」です。「中医学」とは、中国の古典医術に、西洋医学をドッキングさせたようなものと理解していただくとよいでしょう。



 鍼灸は基本的に、どこに行っても効きます。 


 上で色々書きましたが、どの流派の治療法が良いとか悪いとか言う話ではありません。鍼灸は基本的に、どこに行っても効きます。ただ、文句をつけようと思えば、つけられます。

 脈診系は、「脈」を重んじるのは良いのですが、重んじすぎて、脈と患者のあらわしている状態とに矛盾が生じた場合、脈を「主」、状態を「従」にする傾向があります。脈を診よう、脈を診ようという気持ちが強すぎて、患者さんの表している状態をありのままに見ることができずに、大切な情報を見落としかねない危険性をはらんでいます。

 古典派も同様で、古典の記述と患者のあらわしている状態とに矛盾が生じた場合、古典の記述を「主」、患者さんの状態を「従」にする傾向があります。古典の記述に患者さんをあてはめて、理屈で理解しようとする危険性をはらんでいます。

 筋骨系は、筋肉と骨(もしくは骨の並び方)しか診ていませんので、筋肉のコリや痛みなどには強いのですが、内臓系疾患や免疫疾患の患者さんが来るとお手上げです。
 
 しかし、どの流派の治療法でも、多かれ少なかれ、理論体系上の弱点を抱えていますが、基本的には大丈夫です。このような弱点は、臨床を重ねるうちに徐々に克服されいきます。「弱点を経験がカバーする」と言っても良いでしょう。



 鍼灸院選びのポイント。
    ① まずは、通いやすいところを探すべし。


 基本的にどこに行っても大丈夫なのですから、みなさんの家から一番近い鍼灸院に行くことをお勧めします。「これも縁やね~」とでも思って、行ってください。

 いろいろな事情があって、「あまり近くの鍼灸院に行きたくない」という方もおられるでしょう。「もし、鍼灸院に通わなくなった時、道でばったり出会ったら気まずくなるかな~」という心配もあります。こっち(鍼灸師の側)は、あまり気にしてませんが・・・。

 心に悩みを抱えておられる方は、「あんまり近くの鍼灸院やと、姑の悪口も言われへん」と、敬遠されますね。その気持ち、分からんでもない・・・。
 
 いろいろな事情はあるでしょうが、鍼灸の基本は、「長くつき合う事」です。鍼灸院に来られる患者さんの多くは、目立った症状が無くなると、通わなくなるものですが、目立った症状がなくても、「健康管理」という意味で、長く通ってもらいたいものです。また、目立った症状がなくなったとしても、完全に治ったわけではない場合も多々あります。

 ですから、鍼灸院選びのまず一つ目のコツは、「通いやすいところ」ということになります。家の近所、職場の近く、買い物に行く道の途中などなど・・・。別に、有名なところを選んで行く必要はありません。近所で十分です。

 私のところ(愚楽庵/石部鍼灸院)は、JR高槻駅から徒歩5~6分のところにあります。阪急からも歩こうと思えば、歩けない距離ではありません。大通りから少し入ったところにあり、家の西側の道路の道幅が狭いので、車があまり通らないので、駅に近いわりに静かでいいところです。家の裏を少し行けば商店街(芥川商店街)に出ますので、患者さんは治療した帰りに、買い物をして行きます。

 通うには良いところでしょう! ( ← 注・宣伝です。)



 鍼灸院選びのポイント。
    ② 最近開業した所はダメ。決め手は口コミ。


 「どこでも良い」と言っても、気をつける点もありますので、少し書いておきます。

 鍼灸師にとって、「備えておかなければならない大切なこと」が3つあります。その3つとは、

 「知識と技術と経験」です。

 「知識と技術と経験」の他に、「はったり」をつけ加えた、「4つ」であるとする説もありますが、一応今回は、「3つ」と言うことで、話を進めます。ちなみにここで言う「はったり」とは、「嘘八百(うそはっぴゃく)」のことではなく、「患者さんを納得させるだけの話術」の意味です。お間違いなく。

 さて一つ目の「知識」ですが、上で書いたように、専門学校では西洋医学オンリーで、東洋医学の「と」の字も教えてくれません。だから鍼灸師は、在学中もしくは卒業後に本を買って読むとか、勉強会に通うとかして、自分で勉強しなければなりません。

 ですから、鍼灸院に入って行って、本の「匂(にお)い」のしないような所は、避けたほうが良いでしょう。「匂い」と言っても、古本屋のように古い書籍の「香り」がするという意味ではなく、「この先生、本いっぱい読んでそうやな~」という雰囲気が感じられるかどうかです。治療室や待合室の本棚に、漢字がいっぱいで難しそうな本や、やたらと高そうな本がならんでいたら、その鍼灸院は「当たり」です。

 二つ目は、「技術」です。これは、学んで(教えられて)身につく技術と、天性のものとの2つに分けられます。学んで身につく技術は、学べば良いので何とかなりそうですが(そんなに簡単には行きませんが・・・)、天性のものはどうしようもありません。

 世の中には「天才」と呼ばれてまったく差し支えない部類の人間もいるということです。私も何人か知っています。ぜひ、このような方に治療してもらいたいものですが、そう簡単にはお目にかかれませんので、まず諦めてください。めぐり合うためには、そうとなラッキー(偶然)が必要です。

 三つ目の「経験」ですが、これが一番重要といえます。先に「技術」の話をしましたが、技術というものがなくても、「経験」が往々にしてカバーしてくれるものです。鍼灸師はいわば「熟練工」のようなものです。たとえば金属加工の熟練工は、1000分の1ミリ単位で金属を削りだします。これは天性の勘(かん)もさることながら、一に経験、二に経験です。これと同じことが鍼灸の世界でも言えます。

 鍼はただ刺すだけでも効きますが、より良い刺激を患者さんに与えようとすれば、本当に、コンマ何ミリ右か左か、コンマ何ミリ深いか浅いかで、鍼の効果がまったく違ってきます。これはもう、経験を積むしかあります。

 ですので、表題のような結論が導き出されます。つまり、「最近開業した所はダメ」です。

 要は、知識も技術も、経験に裏づけされてこその知識と技術だということです。この経験は一日、二日で身につくものではありませんね。日々の真剣な臨床の中から身について行くものです。1年より5年、5年より10年、10年より30年と・・・。

 長ければ長いほど良いという単純なものではありませんが、臨床経験の長さは、ある一定の「指針(バロメーター)」にはなりますので、信じて良いかと思われます。なるべく昔からそこにある鍼灸院を探してください。


 「決め手は口コミ」の話もしておきます。

 鍼灸院選びで一番重要な情報は、口コミです。我々のような業種では、「口コミ」ほど頼りになる情報を私は知りません。鍼灸院を選んで行く場合、口コミを頼りにするのが、一番良いでしょう。

 だいたい、「どこかに良い鍼灸院はないかしら・・・」と、探しはじめる時期(年齢)というのは、周りの人々も同じような悩みを抱えている時期(年齢)と重なります。

 子どもの病気で悩んでいるお母さんの周りには、同じようなお母さんたちが。更年期障害で悩んでいるご婦人の周りには、同じようなご婦人方が。介護マッサージを望まれる方の周りには、同じようにご年配の方が・・・。

 自分からいろいろ相談していくと、みなさん自分の身体やごく身近な人の健康に関することですので、けっこう知っています。その人なりに情報を集めています。そんな会話の中で、「あそこ良いよ~、今度一緒にいこか?」と誘われたら、ついて行って良いでしょう。


 一昔前まで、鍼灸院のチラシや広告といったものをあまり見かけませんでしたが、最近では多くなりました。それだけ、新規開業が増えとるのでしょうか?

 全面カラーの、きれいなチラシや広告も見れるようになりましたが、「これを頼りにしても良いのか?」というお話です。

 最近は、鍼灸の専門学校でも、高卒組が多くなりましたが、私が専門学校に入学した当時(15年ほど前)は、多くて50%、だいたい4割前後しかいてませんでした。「高卒組」とは、高校卒業と同時に専門学校の入学してくる人のことですが、それ以外は、大学卒業してからの「大卒組」、サラリーマンを5~10年ほど経験して、専門学校に来た「脱サラ組」、定年もしくは早期離職してきた「定年組」が各2割ほどの計6割を占めていました。

 最近では、鍼灸専門学校の激増とともに、定員も激増、「高卒組」がずいぶん増えたようです。

 最近の若者が何を考えて鍼灸師を志したのかは知りませんが、昔はいろんな人がいました。

 鍼灸師の母親の姿を見て、これしかないと悟り、高校を卒業と同時に入学してきた「高卒組」の人。

 大学まで出たのは良いが、やりたいことが見つからず、けっきょくは周り人のすすめで専門学校にきた「大卒組」の人。

 サラリーマンを10年経験したが、自分も組織の歯車のひとつであることに気づき、おさな子を抱えた嫁さんを説得してきた「脱サラ組」の人。

 子どもも巣立ち、奥さんと第二の人生を歩むべく、早期離職に応募し、退職金を入学金に当ててきた「定年組」の人。
 
 さまざまな立場とさまざまな思いの人が、一つの教室で授業を受けていました。わりとおもしろかったです。

 いろいろなものを見て、いろいろな経験をして、鍼灸師になった人も多かったので、いろいろな価値観を持った人が多かったような気もします。

 ですから概して、お金儲けが目的で、鍼灸師になった人が少なかったような気もします。必然的に、きれいなチラシを作ったり、まめに広告を出したり、ホームページで宣伝したり、あまり積極的ではないようです。「自分の好きなことやれたらそれで良い。お金はその次」という人も多かったように感じます。もちろん例外もいますが、概してそうだったと思います。

 物事とはおもしろいもので、「儲けよう、儲けよう」と思うと儲からないようです。「食えたら良い」くらいに思って、ゆったりとした気持ちで経営する方がうまくようです。「儲けよう、儲けよう」とする気持ちが大きければ大きいほど、鍼の腕は鈍ります。気持ちがどっか、あさっての方を向き、患者さんに向いていないんでしょうね。これでは治りません。

 「食えるだけで十分だ」と、のんびり構えていると、鍼ものんびりゆったりとした治療ができます。


 さて話をもとに戻します。

 私は、チラシや広告やホームページをすべて否定しようとは思いません。私もチラシ作ったり、現にこうして、ホームページを立ち上げて、「宣伝」しているのですから、それを否定すれば、自己矛盾です。だから、否定はしません。ただ、「鍼灸院選びの役に立つか?」と聞かれれば、「疑問視せざるを得ない」というのが答えです。

 私も、「食えたら良い。それ以上は望まない」というタイプの人なので、チラシや宣伝物を作るのは好きですが、「それで患者を増やそう」とか、「儲けよう」なんて思っていません。ホームページもあくまでも「宣伝」ではなく、鍼灸のすばらしさを伝えるためのもの(媒体)と思って作っています。だから、宣伝のためには必要ないページも多いし、字も多いわけです。

 宣伝のためのホームページなら、もっと写真を増やして、イラストなんかも入れて、字は少なめに、イメージを先行させて・・・。と、やり方はいろいろありますが、あまり興味がないので、私はやりません。


 また、儲かっている先生なんかに言わせれば、「ミニコミ誌の広告や新聞の折込チラシなんか、『うちの治療院は患者が少なくて、儲かってませんよ~』って、宣伝してるようなもんやで、石部君。(宣伝なんか)やめとき、やめとき~」だ、そうです。私の言葉ではありません。あくまでも、私の知り合いの先生です。

 ですので、広告、チラシ、ホームページなどの宣伝物は、すべて無視してください。一切無視してかまいません。だいたい、患者がいっぱいで儲かっている鍼灸院は宣伝なんか載せませんし、我々は、「もうこれ以上患者増えたら困るわ!」って言う先生のところに行きたいので、そういったものは絶対無視です。



 やっぱ結論は、「ク・チ・コ・ミ」でしょうね~。

 
 結論が、「口コミ」という事で落ち着いたところで、「良い鍼灸院のかかり方」もぜひ、ご覧下さい。

 「良い鍼灸院のかかり方」とは?


 「良い鍼灸院の選び方」、ご参考になったでしょうか? しかし、良い鍼灸院が見つかっても、見つからなくても、ご安心ください。大丈夫です。こちら(患者)の心がけ一つで、良い鍼灸院はより良く、普通の鍼灸院もそれなりの鍼灸院に化けるということを、お話していきます。



 基本的に「鍼灸院」は、どこに行っても効きます!


 基本的に「鍼灸院」であれば、どこに行っても効くという事は、これまで何回も書いてきました。改めて書きます。「鍼灸治療」そのものが、身体を癒やすのに、とても有効な治療法であるために、基本的に「鍼灸院」であれば、どこに行っても効きます。

 鍼灸師の中には、「神」のような存在の方々から、素人に「毛」のはえたような者まで様々いてますが、ある一定のルールにのっとって治療をすすめれば、誰がやっても必ず治ります。絶対に治ります。ですので私は、病気の治療法に、「鍼灸」をお選びになったあなたに、心よりの祝福を送ります。
 
 しかしよく聞く話ですが、患者さんの中にはいろいろな治療法をためされのち、こう言う方がいます。

 「どこの医者に行ってもあかんかった・・・。それから針灸、マッサージ、整骨院、カイロ、整体・・・。全部ためしたけど、どれも効かなかった・・・」と。

 その方の症状が、西洋医学的に診断しきれないものや、西洋医学的に原因がはっきり分からないもの、膠原病などの免疫疾患などなど、いわゆる「難治症」といわれる病気を持っている方に多い傾向です。

 それもそうですね。自分は「痛い」と思って医者のところに行っているのに、「原因が分からない」、「異常無い」などといわれ、あげくには、「気のせいでしょう」と、さも、「痛いって言ってるお前が悪いんじゃ~」みたいに邪険に扱われたら、いやになるのも当然です。その上、「良い」と言われるものをかたっぱしからためしてみても、お金と労力の無駄に終わったのなら、もう何も信じられなくなりますね。それは無理もない話しです。
 
 しかし、そんなことは言っても、西洋医師であろうとも、鍼灸師のような東洋医学師であろうとも、我々を信用していただけなければ、治療なんて成り立たちません。ここがこのページのポイントです。



 腕にばらつきがあるのは仕方がない問題。
   それでも、「信用できるかどうか」が、カギ。
 
 
 戦前の話はあまり詳しくありませんので、話を「戦後」から始めますが、第2次世界大戦後の日本では、「皆保険制度」の建前のもと、「全国どこに行っても、誰でも気軽に、同じ医療を受けられる」事を目指してやってきました。大都市の大病院でも、離島の診療所でも同じ医療が受けられることは、大変すばらしいことです。

 最近その「地域間格差」がひどくなってきていますが・・・。

 ムダないらない道路なんか作らんと、そっちに金を回さんかい!


 しかし最近では、西洋医学の分野でも情報公開が進み、基本的には同じ医療が受けられることを前提としながらも、各医療施設によって、より得意な分野とあまり得意ではない分野があるということも、広く知られるようになりました。以上、西洋医学の話です。

 ここで抑えていてほしいことは、「各医療施設によって、より得意な分野とあまり得意ではない分野がある」ということです。端的に言えば、建前はどうであれ、「得意と不得意」が各医療施設によってあるということです。もちろん、医者個人に当てはめても同じです。「上手い人と下手な人がいる」ということです。


 建前上は「みんな同じ」をかかげ、養成期間が6~8年以上(医大6年、研修医2~3年)もある西洋医学の分野においても、「上手い人と下手な人がいる」ということですから、養成期間が3年余りと短い鍼灸師では、もっと腕にばらつきがあるということは、いなめないことです。


 我々の世界にはまさに、「神の手」とも言うべき腕を持った鍼灸師がたくさんいます。すべての鍼灸師はその「神の手」を目指し、一歩でも近づくべく、日々努力しているわけですが、その領域に達するには、長い時間と労力を必要とします。

 神の手を持つ治療家にめぐり合えれば、あなたはそれ以上、何の努力も必要としません。すべてお任せすれば良いだけです。しかし、早々出会えるものではないということも確かです。「何千人、何万人に一人」の世界です。出会えることが奇跡です。

 また、「早く治そう、早く治そう」と気持ちがあせるばかりに、その方の「神の手」に気づかないまま、通り過ぎることも多々あります。せっかく出会えていたのに、とても残念な話です。


 しかし、こちら(患者)の心がけ一つで、良い鍼灸院はより良く、普通の鍼灸院もそれなりの鍼灸院に化けるのです。そのカギが、「信頼」です。


 鍼灸の治療というのは、「鍼を身体に刺せば、物理的な刺激により効く」というような、単純なものでは絶対無いというのが、このサイトの一貫した信念です。

 それでは鍼灸治療において何が、治療し、何が治癒なさしめるのでしょうか?


 それは一言で言えば、「気」に他なりません。

 「気」について詳しく書きだすと、長文になってしまいますので、他のページを参考にしていただきたいのですが、とにかく、東洋医学独特の概念である「気」が、患者の身体に作用し、治癒なさしめるわけです。

 「気」には、二つの意味があります。患者さんの気と、我々鍼灸師の持っている気の二つです。患者さんは何らかの理由によって、その「気」の運行を滞らせ、いろいろな病気になります。この気の運行を正常に戻し、鬱滞したもの(毒)を下してやることによって、健康にもどります。すべて「気」の働きと言えます。


 それではこの患者さんの「気」に作用するものは何か。針による物理的な刺激でないことは明らかですね。そうです、鍼灸師の持っている「気」が作用するわけです。

 しかし患者さんの側で、鍼灸師の「気」を拒絶してしまっては、治療になりません。信用して、すべて任せてもらう以外にありません。

 我々鍼灸師の、「治してやりたい」という気に、患者さんの「治してほしい」という気が合致して初めて、治療がスタートすると言っても過言ではありません。

 ですから、結論を言えば、鍼灸師の腕なんてまったく関係ありません。あなた(患者さん)が、その鍼灸師を、「信用できる」と思えるか、また、「すべてお任せします」と言えるかどうかに、治癒できるか否かのすべてがかかっています。

 もちろん、一目で信用できないような鍼灸師、つき合えばつき合うほど不信感のわく鍼灸師を無理から信用しろとは言いません。そんな者は、信用しなくて良いです。早々に立ち去り、ちがう鍼灸院を探しましょう。

 しかし、ひとたび「信用できる」と確信できれば、ごちゃごちゃ言わずに信じきって、とことんつき合うのがベストです。
 


 下手くそでも、若者でも、患者さんのために
   一生懸命鍼をしているようなら、信用してよし。
      一生つきあうべし。


 たとえばの話ですが、10年間も地道にこの仕事をしていれば、何とか鍼は打てるようになります。はじめは不器用でぎこちなくても、10年も臨床をつめば、それなりの鍼は打てるようになります。専門学校を下から3番目の成績で卒業した私が言うんだから間違いない。

 あとは、人間性の問題です。その鍼灸師が、信用できそうならばOK! できなさそうなら、NO! です。理屈ではありません。直感、フィーリングの問題です。

 どんなに下手くそでも、年が若かっても、経験が浅くても、まじめに一生懸命治療している姿が見えれば、とりあえず信用してつき合っても良いでしょう。


 都市部のように、駅前にた~くさん鍼灸院やナンジャモンジャがあるのでしたら、「はしご」してもいいですよ~。時間とお金はかかりますが、いつかは信用できる人にめぐり合えるでしょう。しかし、早めにどこかに落ち着かないと、身体がしんどいだけでっせ。


 また、「良い鍼灸院はないか」と探し回るより、発想を逆にして、「良い鍼灸師を育てる」という方法もあります。

 私は多くの患者さんに育てられてきました。個人経営の鍼灸院、外科内科病院、クリニックと渡り歩き、ようやく開業にこぎつけましたが、勤務している間も、開業してからも、患者さまから多くのことを学ばせていただきました。

 なかには「気」にかんして非常に敏感な患者さまもおられて、「もうちょっと左、もうちょっと奥」と、針の角度や深さの指示をいただいたり、「気が絡まった、気が緩んだ、どっか逃げた・・・」と、気の奥深さを教えてくださった患者もいました。どんな教科書にも書いていない、大切なことを多く教えていただきました。

 一から教えたら、何とかなるもんです。発想を逆転させて、若くて活きの良い鍼灸師を、自分好みの治療ができる鍼灸師に育て上げるというのも手です。そう難しいことではありません。

 痛ければ「痛い」、気持ちよければ「気持ち良い」と言うだけです。その後、治療に慣れ、自分の身体を静かに観察できるようになってくると、気が動くのが分かり始めます。はじめは、もぞもぞ・むずむずするだけですが、そのうち明確に、針が気をとらえているのかいないのかが分かり始めます。そうすればもうけ物です。「いま来てる・・・、外れた・・・。そこそこ、ゆっくり・・・。はい、針を抜いて~」と、指導すれば良いだけです。

 ねっ、簡単でしょ? (簡単じゃないか・・・)


 とにかく、「あそこはアカン、ここはダメ」と、次から次に医者や治療院を変えてもダメです。絶対に治りません。ココと決めたら、とことん付き合う。西洋医師でも東洋医師でも同じです。「信用できる」と直感したら浮気せず、ココと決めてとことん付き合う。これがベストです。



 最後に。


 「良い鍼灸院の選びかた」ということで、5ページほど書きました。長々と書きましたが、ご参考になりましたでしょうか。

 患者さんは、「治りたい」と切に願っています。
 我々鍼灸師もまた、「治したい」と切に願っております。

 この両者が鍼灸院という場所で出会うのですから、「治らないはずがないじゃないか」というのが、この「鍼灸院の選び方」全体の結論です。ご共感いただければ幸いです。

 私もまだまだ開業して間もない未熟者です。その未熟者があえて、「天にツバ吐く」様な愚かな行為と知りながらも、このページを書いたのは、一人でも多くの患者さまが、鍼灸治療というすばらしい治療法を知り、鍼灸師というすばらしい人々に出会っていただきたいと思ったからです。そして一人でも多く、病に苦しんでおられる方が、少しでも楽になっていただきたいと思ったからです。

 私も、一人でも多くの患者さまから、信頼される鍼灸師となれるよう、日々精進する事をお誓いして、このページを終わりたいと思います。



 絶対安心
 抜苦与楽



 愚楽庵・住人/石部愚観 (2005年04月。2008年04月、2018年10月一部改定)。