瞑眩現象とは?

瞑眩現象とは?
  「積極的治癒反応」について

 鍼や灸、漢方薬などの治療の後に、体調の変化を訴えられる方がおられます。
 「少し気分が悪くなった」、「下痢をした」、「身体がだるくなった」などの症状です。
 しかしこれは、「瞑眩(めんげん)反応」というもので、副作用といった類(たぐい)のものではなく、身体がよくなる前に、一時的に少し病状が悪くなったように感じる反応です。しかし、この症状が治まれば、自然と身体が治療前より良くなっていることに、気づかれるはずです。

 それではなぜ、このような症状が出るのか、お話させていただきます。
 さきほど、体内の「毒」と「邪気」の話をさせていただきましたが、瞑眩現象とは、この毒や邪気が身体の外に追い出される反応にほかなりません。どのような形で、毒が体外に出て行くのかは患者さまお一人お一人で違った反応をします。しかし、次のような現象が多く見られます。

 「吐く」

 気分が悪くなり、吐きます。吐くものは、食べたもののほかに、「黄色くて、苦くて、すっぱい液」などを吐きます。一見して、「これが毒か…」と、納得してしまうような物体を吐き出すといいます。余裕があれば、観察してください。多くの場合、一回吐いてしまうと、「スッキリ」します。水分を十分取り、横になり身体を休めてください。それでもなお、気分が悪い状態が続くようでしたら、遠慮なくご連絡ください。


 「下す」

 下痢になります。これは、理解しやすいと思います。お腹にたまっていた余分な水(水毒/すいどく)が、鍼灸治療によって、身体の外に出ることの、見本のような反応です。この場合も、十分水分をとり、横になっていてください。下痢をとめようと、水分をひかえることは絶対にしないでください。


 「汗をかく」

 汗を多くかきます。汗のかきかたは、「大量にかく」、「臭くて、ベットリした汗をかく」等、様々な反応があらわれます。これは、体内にたまっていた余分な水分(水毒)が皮膚の表面から排出されていることの現れです。この場合は、こまめにシャツをかえ、身体を冷やさないように注意し、十分水分をとり、横になっていてください。


 「おしっこがよく出る」
 おしっこがよく出ます。一般的に、色が濃くなり、臭いがきつく、回数も増します。逆に、色が薄くなり、臭いはさほどでもないが、回数と量が多くなる方もおられます。「濃く・臭い」場合は、主に毒の実体が、「薄く、多く」の方は、身体に不要な水分(水毒)が体外に排出されているものと考えられます。この場合も、十分水分をとり、横になっていてください。


 「その他」

 その他、様々な症状が出る場合があります。

 「一時的に熱が上がる」

 これは、体内にこもっていた熱(この熱を、邪熱といいます)が、身体の外へ押し出されるからです。水分を十分取り、汗をかくと自然に下がります。ゆっくり身体を休めてください。
 瞑眩による熱なのか、症状がぶり返しての熱なのか判断をするのが難しいところですが、汗をかき、本人が「苦しくない」と言うのでしたら、心配ないでしょう。本人が、「苦しい」と訴えれば、鍼によりおさまっていた症状がぶり返したことをあらわします。適切な処置が求められます。

 「一時的に痛みが増す」

 これは、体内に残り、とりきれなかった「邪気」のしわざです。邪気は好きなところに行きます。ひざの邪気が治療後肩に行き、「ひざは楽になったが、今度は肩が痛くなった」と言う患者さまがおられます。まさに、邪気です。今度は肩から邪気を抜きます。邪気がすべてなくなるまで抜けば、痛みはどこにも出てきません。
  痛みが、もとあった痛む部位よりも、上に来たものはまず心配ありません。また、「痛みが取れたら、風邪のような症状がでてきた」という方がおられます。これも邪気です。心配ありません。

 「何年もとまっていた生理がくる」、
 「生理の血の中に、レバーのような色をした血が混ざる」

 これは、体内にたまっていた不要な古い血(毒をはらんだ古血。オ血と言います)が、体外に出たものです。生理の血の中に、ドロッとした黒い血の塊が出るのもこれが下ったものです。心配ありません。しかし、色が鮮やかなものや、鍼治療と関係なく出るものは要注意です。医療機関、婦人科等で、検査してください。

 「フキデモノが出る」

 これは、体表面の邪気が吹き出物として出た可能性と、体内の古血が体表面に下ったものの、両方の可能性があります。邪気も毒も根本的には同じものですが、邪気の場合の吹き出物は、割合すぐに治ります。しかし、毒の吹き出物は、長くかかります。1~2ヶ月は見ておいて下さい。
 しかし、死ぬようなものではありません。本人さんはつらいですが、まわり人間は本人さんが思うほど気にしていませんので、気にしない方が良いでしょう。毒がすべて出きってしまうと、自然に治ります。

 「膿のような痰がでる」

 風邪が治るときなどにでます。これも毒の一種です。水毒になります。ドロッとした水毒です。吐けるだけ吐きましょう。しかし、吐き出すのが苦しい時は、無理に吐き出さなくてもかまいません。痰を切ろうと、大量に水を飲まれる方がいますが、その必要はありません。ほしいだけ、適量飲んでください。
 ドロッとした鼻水、サラサラしているが大量の鼻水、これらも水毒です。

 「鼻血がでる」

 ドロッとした血のかたまりが鼻からでます。これもたぶん、毒でしょう。邪気である可能性もありますが、どちらでもかまいません。結局は、同じです。ドロッと、色の黒い、鼻血なら心配ありません。しかし、血の色が鮮明で、サラサラしていて、ドクドク流れてくる時は注意が必要です。鍼治療とは関係の無い反応です。
 この場合、無理やり鼻血をとめてはダメです。少し、うつむき加減にして、流れるにまかせ、止まらないようなら、耳鼻科に行ってください。ティッシュを丸めて鼻に詰めたり、上を向いて首をたたいたりしないでください。

 「一時的に検査結果が悪化する」

 これは、臓器の中にたまっていた、ヘドロのような毒の本体が、ドロドロと動き出したことによるものです。この反応こそ、「待っていました!」と、喜ぶべき反応です。一時的に諸種の検査結果が悪化しますが、徐々に落ち着き、しばらくすると下がってきます。
 よく、「腹に鍼をしたときに、臓器をいためたのでは?」と、質問を受けますが、心配ありません。私の使用する針は、どんなに深くても、臓器に直接触れるほどの深さまでは入りませんし入れません。毒が身体の外に出きってしまうと、検査数値も当然、「標準値」まで下がってきます。


 これらの反応は、「積極的治癒反応」といえるもので、「治癒に向かっての良い反応」であり、まったく心配ありません。また、この反応が、「身体によい反応(瞑眩現象)」なのか、「身体に悪い反応(副作用等)」なのかは、反応を感じておられる患者さまご自身が、一番よくお分かりになられると思います。ゆっくり、ご自身の身体に聞いてみて下さい。

 もし、「これはおかしい」と思われましたら、遠慮なくご連絡ください。また、瞑眩現象をおこされると、怖くなって、鍼治療を中止される方がおられますが、せっかく、「よい反応」が出ているのですから、引き続き鍼治療をされることをお勧めいたします。

 また、「激しい反応」を敬遠される方も多くおられますので、当方では、ゆっくり反応し、徐々に毒が排出されるよう、ソフトな鍼刺激を心がけております。ですから、これらの反応が出たから治る、出ないから治らないというものではありません。出なくても、身体は治ります。しかし、「出るとなお、治りが早い」と、いうだけの事です。


 「ご注意」

 あまりにも反応が激しく、「これはおかしい」と感じましたら、すぐにご連絡ください。また、西洋薬を併用されている患者さまは、薬による副作用の可能性もありますので、疑問を感じましたら、当方または西洋医学の主治医にご相談ください。

  また、瞑眩現象は一過性のもの(1~2時間。長くても半日~1日)であり、長期間にわたり持続するものではありません。何かご不安なことがありましたら、ご連絡ください。


「メインメニュー」に戻る。




2016年03月、一部改訂。
2017年04月、一部改訂。