めまい(メニエル様めまい)その2  (症例「めまいその1」と、よく似た症例)


患者
 N・H 様。40才代後半。女性。

主な症状
 めまい。近隣の内科にて「メニエルめまい」と診断される。

症状
 めまいは、1週間ほど前から。
 はじめは、耳がつまったような感じから始まり、頭痛になる。
 それが少し治まったころ(1週間前)から、耳なりとくるくると回るようなめまいが発症した。
 めまい(++)。頭痛(+)、耳なり(+)、肩こり(+)。難聴はこの日は(-)。
 その他、冷え性。

 ※ 『家庭の医学』に、「メニエール病という病名の認知度は高く、めまいの代名詞のように使われたり、内耳性のめまいや回転性めまいを何でも『メニエールだ』と安易に判断する医者も少なくありません。これはかつて内耳に起因する突然のめまいや難聴を『メニエール症候群』と呼んだ前世紀の名残です。耳鳴りや難聴を伴わないめまいや、1回だけのめまい発作を『メニエール病』と診断するには、内リンパ水腫の証明など高度に専門的かつ慎重な診療手順が必要です。」とあります。

 おそらく、この患者さんが受信した医院(クリニック)が内科だったので、内科医も「メニエール病」と断定することを避け、「メニエルめまい(=メニエール症候群)」という病名にしたものと思われます。

 あとでも書きますがこの患者さんは、めまい・耳鳴り・難聴(難聴はそれほどきつくない)を繰り返しましたので、「メニエール病」という病名で間違いないと思います。(鍼灸師は「診察」はできても、病名を「診断」することが法律上できないので、こういう書き方しかできない…。)


東洋医学的 四診

脈診/全体的に沈。やや力が弱い。
舌診/舌体は赤いのに、苔は無い。ヌメヌメと滑(ぬめ)っているのに、なぜかひび割れて「痛い」言う。
腹診/全体的に寒。
   下腹部に手術痕(帝王切開)。
触診/下肢の冷え(左<右)。


概念的理解

 脈から受ける印象は、冷えていて弱っている印象。
 しかし、舌体は赤く悪い色はしていないのに、無苔で、ひび割れて、痛いと言う。
 腹は全体的に冷えている感じもするが、上の図には煩雑になるので書かなかったが、手術痕付近に、ところどころ「熱」をもったような個所もある。

 陰と陽(寒と熱)が混在しているような状態。

 とりあえず、治療方針としては、冷えているところを温め、熱いところを冷やすとした。
 「混沌」とした状態では、それ以外に治療ができない。
 治療の後、症状が落ち着いてきたら、どこが本当に寒で、どこが本当に熱であるのかがわかって来る。
 分かったら本格的な治療に入る。

治療と経過
初診(某年 7月17日)
 治療は「法」に従う。
 めまい、頭痛、耳なりに対し、手の陰経および陽経を十分な配慮を持って治療する。
 肩こりに対して、うなじ、肩、背中を十分に治療(手技は瀉法)しておく。

治療直後  第2診の時の話では、「めまいは直後からかなり軽減した」とのこと。頭痛、耳なり、肩こりは変わらず。

第二診(7月21日)
 治療は第一診に同じ。

第三診(7月24日)
 めまい(+)。頭痛(+)。耳なり(+)。肩こり(+)。難聴(-)。冷え性(+)。
 治療は第一診に同じ。
第四診(7月31日)
 治療は第一診に同じ。
第五診(8月6日)
 めまいと耳なりが無くなる。頭痛(やや+)。肩こり(+)。難聴(-)。冷え性(+)。
 治療は第一診に同じ。
第六診(8月10日)
 治療は第一診に同じ。
第七診(8月20日)
 治療は第一診に同じ。
第八診(8月28日)
 めまい、再発。 
 めまい(++)。頭痛(やや+)。耳なり(+)。肩こり(++)。難聴(-)。冷え性(+)。
 特に治療法は変えず、第一診に同じ。
第九診(9月4日)
 めまいは落ち着く。
 治療は第一診に同じ。
第十診(9月11日)
 治療は第一診に同じ。
第十一診(9月18日)
 この頃になると、脈も少し元気になってきて、張りも出てくる。
 舌体は赤く、薄い黄苔。
 腹診では、「胸脇苦満」と云うほどでも無いが、肋骨弓下を押すと、抵抗がある。
 脈診と舌診、腹診の状態が徐々にそろってくる。

 この患者さんの談によると、「毎日、午後3時ごろになると、めまいと耳なり(の症状)がきつくなる」との事。
 東洋医学的にみて、興味をそそられそうな情報であるが、実際の治療にはあまり関係ないので、省略する。 (陰陽五行的に色々言えそうであるが…)

感想

 この患者さんも、「めまい その1」の患者さんと同じく、「40歳代後半」でもあり、ただ単に、「更年期障害の一症状」ととらえても良いし、別の理由を考えても良い。
 ただ、原因が解ったからといって、治せなくては意味がない。

 この患者さんの場合、第12診以後が書かれていないが、もちろん、良くなったり悪くなったりを繰り返している。
 
 めまいの原因は、東洋医学的には、「水毒」。
 水毒とは、「身体に悪い影響をあたえる水分の総称」です。
 この水分の上昇を抑えてやらなくてはいけませんが、それとともに、水が昇る根本的な原因、この患者さんの場合は、身体の冷えであったり、更年期によるホルモンのバランスの崩れなども、同時に治していく必要があります。